誤解しないで！

去年の秋頃から通勤途中に、メチャクチャ“可愛い”というか“綺麗”というか“好み”というか、具体的かつ一言で言うと“仲良くなりたいような”女性とすれ違うようになった。
 
ところが、おっさんは適当なので毎朝の家を出る時間や帰宅時間は日によってまちまちである。

だから日によって出くわす日とそうでない日がでてくる。

朝に顔を合わすと、なんか１日頑張れそうな気がして活力が出るし、帰りに会った時も何か頑張れそうな気はするけれど、帰宅すると特に何も頑張ることもないのでちょっと腕立て伏せしたりするという日が続いていた。

ところが彼女の他にもう１人通勤途中に出くわす人がいた。

それは顔が“樹木希林”に似たいつも派手な格好をしたおばちゃんなのだが、先程書いたとおりおっさんの通勤時間がまちまちであるにもかかわらず、行きも帰りもかなりの確率で顔を合わせるのだ。

その確率は３回中に２回程という高確率で、ひどい時には行きも帰りも出会うこともあるのだ！

どうなってんだ？

キャサリン（冒頭の“仲良くなりたい女性”、勝手に名付けた）なら良いけど、何でこの“樹木希林”とは毎回毎回と顔を合わせるんだ？

ひょっとして俺は待ち伏せされているのだろうか？

自分の身の安全に一抹の不安を感じた。



しばらくの間、通勤経路を変えようかな？なんて思ったりもした。

しかし、そんなことをするとキャサリンと出くわさなくなる。

その“樹木希林似のおばちゃん”が俺とキャサリンの赤い糸を切ろうとする魔物に見えてきた。

ストーカーなんだろうか？

そもそも“おばちゃん”ってったって、厳密にいうと“限りなくおばあちゃんに近い方のおばちゃん”である。

また、一口に樹木希林といっても、一応、女性ということを配慮して女優さんに例えただけで、厳密にいうと“限りなくヨーダに近い方の樹木希林”といった様な感じなのである。

妻夫木君のライバルであるモテモテのおっさんとはどう考えても釣り合わないではないか。

おっさんは決心した！
 
　よしっ！もしストーカーならハッキリと迷惑だと言ってやろう！

しかし、そのもくろみは早々に崩れた。

何と先日、休みの日に近所のパン屋に行こうと近所をブラブラと歩いていたところ、おばちゃんが幼稚園児？くらいの女の子の手を引いて散歩しているところに遭遇したのだ！

　ん！まっ、孫？

ヨーダもこっちのことを気付いていたみたいだが、いくらなんでも孫を連れて男前（おっさんのこと）に付きまとったりはしないであろう。

やっぱりおっさんの思い違いなのだろうか？ 

何か釈然としないままおっさんはパン屋に向かった。

すると、翌日（月曜日の朝）、おっさんは何故か朝早く目が覚めたのでちょっと早過ぎるんじゃないの？ってくらいの時間に家を出たのに、またまたヨーダと出会ったのだ！  

昨日のこともあったのでちょっと変な感じで、おっさんは目を伏して横を通ろうとしたが、ヨーダの方は明らかにビックリしたような様子でおっさんの顔をジィ〜ッと凝視していた！


。。。。。。


こっ、これはひょっとしてヤバいんじゃないの？？？

ヨーダは完全に逆におっさんに付きまとわれていると勘違いしているヨーダったのだ。。。

翌日からおっさんはキャサリンへの未練を断ち切って遠回りして通勤することにした。