2012/06/11

4年8組のロン 〜 最終回。


もうね、映画観に行ったり、長時間昼寝に挑戦したり、忙しいかったぁ。。。

んで、多分、今回で野人退治の話は終わります。

前の2回を読んでない方は、遡って確認するのも面倒でしょうから、今回は下のヤツらをポチッとして帰ってもいいですよぉ〜

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縄を選んでおっさんが教室を出ると、なんと野人は廊下脇に置いてあるはずの7組の傘立てを担いで仁王立ちしていた。

そうなのだ。

何を使っても良い”ってことは、野人側も“何を使っても良い”ということだったのだ。

余談ではあるが、この時のおっさんの
 聞いてないよぉ〜
ってのは、この数年後、テレビでダチョウ倶楽部がやっているのを見て、俺の方が先だと思うこととなった。


それにしても傘立てって。。。

あんな物で人ぶっ叩くなんて考えつくか? 普通。。。

考えがまさに野人である。


一瞬、その場に土下座しようかとも思ったが、後頭部の上から傘立てを落とされようもんなら即救急搬送もんである。

また、こちらが縄ってのも最悪だ。

どうすれば良いんだ?

前回、“何で縄なんだ?”と、心理的に相手を惑わす効果があるかもなんて書いたが、よく考えれば相手はいつも鼻を垂らしているような野人なのである。

傘立てで人を殴るなんて考えつくような腕力だけに栄養をとられたバカなのだ。

100歩譲って、たとえ最初は“何で縄なの?”と思わせられたとしても、こいつは“何で縄なんだ?”と不審に思いながらもそのままおっさんを殴り、そして最終的には“何で縄なんだろ?”と不審に思ったままおっさんの息の根を止めることだろう。

では、どうするのか? 

結果としては。。。

逃げた。背中を見せて懸命に逃げた。。。

相手は野人なのである。
相手は野人なのである。

前回も2回書いたが、本当に大切なことなので、更に2回書いてみた。

そもそも何でおっさんがこんな野郎とシバキ合いをしないといけないんだ?

いくらYちゃんのお言葉とはいえ、一瞬でも“火中の栗を拾おう”と、松平容保的な気持ちになってしまった自分を激しく後悔しつつおっさんは懸命に逃げた。

ところが、これはもはやおっさんと野人の個人的な私闘ではない。 
(おっさんには何の恨みもないけど。。。)

おっさんの後方を、傘立てを打ち捨てた野人が追いかけ、それを先頭としてギャラリーの大群が走って追いかけてきたのだ。

もう逃げられない。

いよいよヤバい感じである。

もうパニックになってしまって逃げるのかやり合うのかの判断もつかないままおっさんは近くの教室に飛び込んだ。

そして掃除用具のロッカーの中から大急ぎでホウキを取り出そうとした。

こういう場合は、とにかく相手との距離を稼がないといけない。

最初に縄を手にしときながら今更の行動であるが、尺の長い得物を手にする必要があったのだ。

ところが、その瞬間、おっさんのその考えを見越した野人がそのロッカーに飛びついてこれを阻止しようとしてきた!

いーやーっ!(泣)

捕まってしまった。

野人との距離“”である。

もう本当に逃げられない。

本当にヤバい感じである。

おっさんは半狂乱となり野人とホウキの奪い合いとなった。

さすが傘立てで人を殴りつけようとするだけあって野人の腕力は“何食ってんだこいつは?”と思うぐらいハンパなく強い。

まるでゴリラのようであった。
傍目から見ると、“ゴリラとホウキを奪い合う牛若丸”のようであっただろう。

リアル過ぎて見苦しいことこの上ない状況である。

しかし、実はこういう“泥試合”的展開はおっさんの最も得意とするところでもある。

この時も幸運は一瞬にして訪れた。


パタンッ!

ん??? 

事態がアホ過ぎて一瞬ワケがわからなかった。。。

野人はおっさんにホウキを奪われまいと思うあまり、なんと!自らロッカーの中に入ってしまったのだ。

しかも、野人は“どうだ!これでホウキは俺のもんだ!”と言わんばかりにロッカーから出てこない。。。

さすが腕力だけに栄養をとられているだけある。

おっさんはそそくさと手元にあった縄でロッカーの周りを縛り付けて野人を閉じ込めると、その場でヘナヘナとへたり込んでしまった。

完全に腰が抜けたのである。


しかし、これがおっさんが最強となった瞬間だった。
ワァーッ!という歓声と共にギャラリーどもが大挙して教室になだれ込んで来たかと思うと、みんなしてロッカーを引き倒し、皆がそれぞれバンバンと蹴りつけ始めた。

野人ってみんなに恨まれてたんだなぁ。。。

腰が抜けたおっさんは、そんなことを考えながら、へたり込んだまましばらくそれを見つめていた。。。


  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇


ところが不思議なもんである。

つい先程まで自分に傘立てで殴りかかろうとしていた相手でも、みんなに寄ってたかってやられてるのを見るのは気分が悪い。


ところがロッカーはおっかなくて絶対に開けられない。


どうすれば良いのかわからず、おっさんはみんなを押しのけてとりあえず、
 ちょっと聞くんですけど、参った? 
とおそるおそるロッカーの中の野人に聞いてみた。


ところが、野人からは、
 • • •
全く何の返答もない。。。

ひょっとして死んじゃったんじゃねぇの??

少し青ざめた。

“少年院!”、“マグロ漁船!”などという言葉が頭を駆け巡った。

  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇


しかし、つくづく思うが世の中はウマく出来ているもんである。

ここで男の喧嘩に女の子達が割って入ってきたのだ。

彼女達は“かわいそう”などと言い出し、皆の囲に割って入り縄を解いてロッカーから野人を助け出したのだ。

恐いのでおっさんは離れたところから見ていたが、野人はまるで、ちんちんの毛をみんな抜かれたかのような憔悴しきった情けない顔でロッカー内から救出された。
(実際、もう生えてたかどうかはわからないけど。。。)   

ところが、この時、おっさんはある異変に気付いた。

何故か、女の子達の間では、いつの間にかおっさんが先頭に立ってみんなして野人をイジメてたかのような雰囲気になっているのである。

腹立つことに野人も“大丈夫?”なんて女の子達にチヤホヤされてマンザラでもないらしく、人が変わったかのようにおとなしい。

納得いかない。

俺のこと傘立てで殴ろうとしてたクセに。。。

くそぅ!俺だってチヤホヤされたい。。。

はたして、この件については、この後、野人による不服申し立てもなかったことから、“4年生最強はテツ(当時のあだ名)ということで話が落ち着いてしまった。

発端となったKは完全にこの日のことを忘れて家で寝ていたらしい。。。

それから転校するまでの1年間、おっさんは毎日、野人やKにいつ挑んで来られるかとビクビクしながら過ごすことになったのである。。。

6 件のコメント:

  1. ronさん、こんばんわ♪
    完結ですね。 
    3丁目の夕日をも、彷彿とさせるストーリーでしたね。
    途中
    卒業式どうなったかな~と思いましたが、
    オチが、転校だったのですね。

    ronさんは、当時ホッとしたのでは、
    いい思い出ですね。

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    1. fumiminaさんコメントありがとうございます。
      おっさんはこのできごとによりそれから1年間悪役になってしまったんですよ。
      そのままならビジュアル系として押していけたのに。。。

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  2. うん。そんなものです小学生の女の子は(笑)
    野人を労わるワタシって・・・かわいいわ♪みたいな。
    とりあえず両者、大怪我もなくよかったです^^

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    1. fuyuさんコメントありがとうございます。
      そうですか?
      おっさん的には大怪我だったような気がしてるんですが。。。

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  3. 息の詰まる展開でしたね。
    これは、「大怪我」認定させてもらいます。
    何の権限も無い、ただの通りすがりの者ですが。

    これからも、時々
    意識して通りすがってみてもいいですか?

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    1. 匿名さんコメントありがとうございました。
      そうでしょ?
      おっさん的にはこれは大怪我ですよね?
      絵面的には“義経の弁慶退治”って感じなんですがねぇ。。。
      これからもどんどん通りすがって下さいね!
      更新してればという前提ですが。。。。

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